牛乳の『乳質』とは?

 「乳質」とは文字通りですが、『牛乳の品質』の事を意味します。搾られた生乳(牛乳)は、その搾られた基本取引乳価額(平均額約100円〜110円)と乳質の良し悪しによって取引乳価が決定しますので、牛乳を搾る酪農家(生産者)さんにとって生乳質の向上および配慮は、酪農経営にとっては重要になります。

 

 一言に乳質と述べても2つに分類されますが、それらは以下の通りです。

 

@成分的乳質:市販されている紙パック飲料乳の側面に、牛乳中に含まれる乳タンパク質率や乳脂肪率の含有成分表が表示されていますが、これらの栄養成分の含有率を表した乳質を成分的乳質と呼ばれています。特に日本では、牛乳内に含まれる「乳脂肪率」と、脂肪を除いた固形成分・乳タンパク質・ビタミン・乳糖・無機物を含めた栄養成分「無脂固形分率」が重要視されており、脂肪率・無脂固形という2つの成分率が高い牛乳ほど高い評価を受けます。

 

 この成分的乳質を決定付ける条件は、遺伝的な素質・給与している飼料数量や質・乳牛が飼育されている環境を含める管理技術に拠る点が大きいです。特に先述の3つの中でも、飼料量・質の重要性が占める割合が多いので、飼育者である酪農家諸氏は、粗飼料・濃厚飼料の給餌バランスは勿論の事、如何に費用を抑え、質の良い飼料を乳牛に給与をする方法を、日々の管理行いつつ模索しています。
 因みに、ジャージ牛はホルスタイン牛に比べ、乳量が少ない分、乳脂肪率が極めて高いので、成分的乳質は良好であります。この点については、先の遺伝的な素質条件の良さに由来します。

 

A衛生的乳質:@の栄養成分によって決まる乳質に対して、こちらは乳質の衛生面が評価対象になります。即ち、生乳中の細菌数・残留薬物成分の有無、そして体細胞数をもって表されます。体細胞数とは、生乳中に含まれる牛の白血球を数値化したものですが、白血球の役割は周知の通り、ウィルスを体内へ侵入する防ぐ事(免疫)にあります。それは牛乳が産出される乳牛の乳房も例外ではなく、乳腺組織が炎症性疾患および細菌感染が原因となり、乳房炎を発症した場合、防御反応の一つとして血液中から感染部位へ白血球が集まり、結果的に搾られる牛乳に含まれる体細胞数が増加する事になります。つまり、『体細胞数が高い乳牛、それから産出される生乳は、乳房炎に罹患した乳牛であり、炎症をおこした乳汁、乳質が非常に悪い意味を示しています。』
 体細胞数が高い生乳を出荷してしまい、酪農組合などの乳質検査に悪い結果を出してしまうと、その出荷者である生産者は、取引乳価を減額(売上減)されられるという厳しい罰則を受けてしまいます。よって酪農家さん達は、搾乳作業の際に、乳房炎に罹患した乳牛の生乳を出荷しないように務めるのは勿論、その前に、乳房炎の乳牛を出さないように毎日の搾乳・管理業務を心掛けています。

 

 @の乳質の場合は、成分率が高いほど高評価を受けると述べましたが、対してこちらAの衛生的乳質(細菌数・体細胞数)の場合は、数値が低い程、高い評価を受けるようになっています。

 

 以上、牛乳の価値を決める乳質について紹介させて頂きましたが、次回の記事では、良質な牛乳が備えるべき条件について紹介させて頂きたいと思っております。

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