人をも脅かす家畜伝染病

 先の記事まで、乳牛など家畜動物に罹患する伝染病のごく一部を紹介させて頂きましたが、今記事では、人にも感染する可能性がある家畜伝染病と届出伝染病の一部を紹介させて頂きたいと思います。決して家畜動物のみを脅かす病気のみではなく、人間にも脅威を与える恐ろしい感染症もあるのです。

 

@狂犬病(rabies 「家畜伝染病」)
 あまりにも有名な伝染病であり、犬を飼っている方々には、飼い犬に対して義務付けられているワクチン接種で馴染みが深いのではないでしょうか。万々一、人が狂犬病を発症してしまうと、殆ど100%の確率で死に至る、非常に恐ろしい伝染病ですが、この事は、家畜動物にも無関係ではなく、動物衛生研究所(通称:動衛研)さんの公式HPによると、牛・馬・鹿・山羊・緬羊・豚などが感染対象となっており、牛の発症例ですと、特に神経系麻痺障害を来たし、最期は呼吸困難で死亡すると言われています。(動衛研HPより)
 『狂犬病ウィルスを持っている犬(特に野生犬)やコウモリ・キツネなどに咬まれたり、引っ掻かれた傷口から侵入、および極めて稀ではあるが、ウィルスによる気道粘膜感染によって発症する』(以上、国立感染研究所HP文中より抜粋)、というのが狂犬病感染経路となっています。
 日本・英国・オーストラリア・ニュージーランド、アイスランド・スウェーデン・ノルウェー・フィンランドの欧米諸国、台湾・フィジー諸島・グアム・ハワイなどの島国、以上の国々は非感染地帯ですが、それ以外のメキシコやペルー含める中南米、タイ・インド・ベトナムやフィリピンを含めるアジア諸国で流行しています。動衛研さんのHPによると、世界で毎年約5万人の方々が狂犬病によって命を落とされているそうです。

 

Aブルセラ病(brucellosis 「家畜伝染病」)
 牛・鹿・緬羊・山羊・豚が感染対象家畜動物となっています。感染経路として、感染動物の乳や乳製品を摂取、感染動物に接触するによって感染すると言われていますので、酪農関連・獣医師(家畜保健所)関連の職種の方々には感染しやすいリスクがあります。
 代表的な症状としては、倦怠感や全身の痛み、発熱があり、発症期間としては2週間〜数ヶ月あると言われています。

 

B炭疽(anthrax 「家畜伝染病」)
 物騒な話ですが、この炭疽(菌)はよく生物殺人兵器として有名な毒素ですが、これも人畜を脅かす伝染病であります。感染対象の家畜動物は、牛・馬・めん羊・山羊・豚が挙げられ、感染発症してしまうと、最速24時間以内に、急性敗血症ショックで死亡します。症状としては、眼の充血、呼吸が荒くなり、最終的には敗血症の代表例である呼吸困難・血尿の症状が出ると言われています。

 

C破傷風(tetanus 「届出伝染病」)
 これも狂犬病と並び、人間世界でも知られた感染症の1つであり、感染対象の家畜動物は、牛・馬・羊・山羊・豚のみとなります。特に馬が破傷風感染に敏感な動物と言われていますが、羊・山羊・豚は馬に比べると感染率が低いと言われています。
 人や動物の外傷から破傷風菌が感染、体内に菌が増殖し、テタノスパスミンという神経毒素が発症する事によって、痙攣を起こし、呼吸困難で死亡するのが代表的です。先述のように、家畜動物の中では、特に馬が破傷風に感染しやすい質なので、定期的に馬インフルエンザ・日本脳炎と並行し、予防ワクチン接種を行います。それを一般的に三種混合ワクチンと呼んでいます。

 

D野兎病(tularemia 「届出伝染病」)
 あまり一般的に知られていない伝染病だと思いますが、野兎病も人畜共通伝染病です。感染対象の家畜動物は、病名の通り兎をはじめ、馬、めん羊、豚という多種類にわたります。野兎病菌という細菌がこの病気元凶となりますが、動衛研さんのHPによると、北緯30度以北(筆者注:地理的には北米・欧米諸国や北アジア)分布する伝染病であり、野生の兎やリス(齧歯類)などの重要な伝染病となっているそうです。
 症状として、悪寒・頭痛・筋肉痛・関節痛といった急性熱性疾患(風邪)に類似しています。「一般的に家畜動物を死に至らしめる様な強力な感染症ではないですが、過去には高い致死率を持った野兎病菌(.tularensis subsp. tularensis)で緬羊の集団感染事例も過去にはあるそうです。(動衛研HPより)」
 病名の通り、兎への感染率が高く、敗血症と併発して死亡する事があると言われています。

 

 以上、人と家畜動物に感染する伝染病のごく一部を紹介させて頂きましたが、皆様におかれましては、これらの病気には感染なされませんよう、動物と接触した後の手洗いなどを行い、衛生面には十分に気を付けて頂きたいと思っています。

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