今記事では、仔牛専用のお家・『カーフハッチ』について紹介させて頂きたいと思います。
人の場合もそうですが、産まれたたての赤ん坊の頃は体力・病気に対する抵抗力が弱いですが、それは仔牛も同様であります。後々、酪農経営を担ってゆく仔牛を病気(感染症:特に大敵は「肺炎」「下痢」)などで、虚弱にしたり、失うという最悪な事態は避けたいものであります。そこで産まれたばかりの仔牛を病原菌から護る目的で収容する施設として登場するのが、『カーフハッチ』です。

 

 カーフハッチという哺育牛収容施設というのは、一言で述べると、『仔牛を野外で1頭ずつ隔離して飼育する小型牛舎』となります。カーフハッチの基本的構造は、幅1.2m・奥行き1.8〜2.4m・高さ1.2m程度ですので、牛舎と言えば少し大仰なイメージになるかもしれませんので、仔牛専用の『小屋』・『テント』のような物と解釈して頂いた方が良いかもしれませんね。
 カーフハッチの素材は市販されいる物では、屋根部にはプラスチックやFRP、骨組みや柵にはステンレスが主に利用されていますが、その分高価であるので、酪農家さん達が、材木(コンパネ)や波板などを材料として、自前で築造する場合も多く見受けられます。
 カーフハッチの歴史を辿ってゆくと、1970年代前半より米国で普及し始め、日本では昭和52年に米国から紹介されて以来、各地で利用されるようになりました。それが普及する以前は、多頭の成牛が飼養されている牛舎の片隅に仔牛専用の集団居住スペースを作って飼養をしていました。しかしそれでは、(冒頭で述べたように)、仔牛は病気に対する抵抗力などが弱いので、牛舎に存在する病原菌によって、感染症に集団罹患してしまうケースが多くあったそうです。
 その反面、野外にて1頭ずつ個別で飼育できるカーフハッチは、牛舎に潜在する菌に仔牛が冒されるリスクが減る上に、他の仔牛同士の諍いによる怪我も防ぐ事ができます。つまり健康チェックを含める仔牛の個体管理がとてもしやすいという利点があります。そして万一、仔牛が不幸にも病気に冒された状態になっても、ハッチ内では1頭のみ飼養されているので、他の仔牛に感染を防ぐ事ができ、集団感染という大事になる確率は極めて低くなります。
 対して欠点として考えられるのが、カーフハッチは野外に設置されますので、天候(雨・雪)に左右されますので、作業員とっては給餌などの作業が些かやり辛い面が出てくると思います。また飽くまでも仔牛専用に造られている小屋なので、当然の如く、人にとっては狭いので、ハッチ内の清掃作業が大変である事がわかります。おまけに仔牛がハッチ内に居るので尚更やり辛いです。

 

 以上、簡単ではありますが、カーフハッチの紹介でした。余談ですが、筆者は一度のみ遠目でしたが、北海道のある大型酪農家さんの所で、カーフハッチが多数立ち並ぶのを見た事があります。さながら『仔牛(カーフハッチ)の集合住宅・あるいはベースキャンプ』であり、中々壮観なものでした。そこでネット内で、筆者が目撃したイメージとは違いますが、カーフハッチ団地の画像が掲載されているサイトを発見しましたので、URLを掲載させて頂きます。

 

http://kubokawagyu.com/training/training.html (株式会社 ビーフキャトルさんのHPより)

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